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日常

この冬、初めての雪、ざらめのように

一昨日、この冬初めての雪を目にした。

風の中に、さらりと白いものが混じったかと思ったら、瞬く間に視界は粉砂糖をまぶしたような世界になった。

風は強く、雪の粒は宙で複雑にうねり、逃げ惑うようにも見えるし、こちらを翻弄して笑う悪戯なダンスにも見える。

ちょうどポン菓子の一粒くらいの大きさのそれは、雪というより、霰や雹に近いのかもしれない。
柔らかな雪ならば、触れたら繊維のようにほろりと崩れるけれど、この物体は当たっても雪溶けることはなく、肌の上で弾んでまた空へと旅立ってしまう。

自転車で、吹雪の中を割り裂いて進む。

唇、目元、頬の上を、冷たさを感じる間も無く儚い衝撃だけを残して去っていく氷の粒を感じていると、訳もなく笑い出したくなった。
とても幸せな気がして。

冷たい空気は凍るように清潔で、清廉に思えた。

両手を守るように脇の下に挟み、俯きがちに歩く人。
フードを目深に被り直す人。
上を向いて舌の上に雪を受け止める子ども。

みんな白いモザイクを纏いながら、びっくりした顔で、あるいは迷惑そうに、あるいは嬉しそうに上を見上げて、この冬を受け止めている。
みんな、祝福されているように思えた。

雪の降らない暖かいところで生まれ、育ったから、雪への思いは子供の頃に抱いていた憧れやわくわくや、愛おしさ、まだ正体を知らないサンタさんのようなときめく気持ちのまま保持されている。

雪がたくさん降り、その大変さをよく知るところに生まれていたら、きっと雪への思いは全然違うものになっていただろう。
雪が、牢獄や閉塞や苦しみの意味を持つ人もきっといると思う。

私には雪が珍しいもので、雪が喜ばしいもので、雪がキラキラした思い出になるのだ。
……霰のようなものを、雪だと言い張るくらいには。

寒い日を、雪の降った寒い日、に変えてくれたから。
私はこの霰に感謝したいのだった。

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